雨雲、のち晴れ空

創作と日常と

静から動へ

 

 ひとつ、大きなことを終えた。

 大学生になって2年目の秋、私たちが作り上げた数日間は今までにないくらい、あっという間に過ぎていった。朝と夜の静寂と昼間の喧騒。それまで何もなかった場所に何かが作り出されていく感覚。響き渡るステージの音。歩き回る人々と、笑顔と、声と、ゆるやかな風と、秋の匂いと、何もかもが混ざり合って形成されていたのは、紛れもなく非日常だった。そんな非日常に私自身も微かに陶酔していたと思う。

 活動をしていて学んだことはなんなのか、とふと考えてみた。

 組織のなかで生きることの難しさを知った。自分の実力を痛感した。自己嫌悪や劣等感に耐えながら存在しなければならない辛さを知った。仕事が完璧にこなせそうな人でも補い合っていることを知った。当たり前が当たり前でないことを知った。見えないところで誰かが動くから何かが作り上げられるのだと知った。

 辛い分だけ達成感があった。嫌なことがあって、嬉しいことがあった。ミスをして泣いて、褒められて笑った。準備したから成功した。そしてそれはみんなで作り上げたからこその結果だった。

 なんだか使い古された陳腐な感想しか出てこないなあと思ってしまう。私が2年かけて学んだことは、誰でも言えるような当たり前のことばかりだったのかもしれない。

それでも意味はあった。この経験はきっと忘れられないものになる。

 

 だから中途半端に来年を選択したくない。生半可な気持ちで続けたくない。

答えを出すのはもう少し先の話。